大切なご家族が介護を必要とされたとき、誰もが「少しでも介護の負担を減らしたい」と思いますよね。介護保険を利用した際の限度額や費用を軽減してくれる「介護保険負担限度額認定」という制度について、関心を持たれている方が多いのではないでしょうか。
でも、預貯金がたくさんあるとこの制度が使えない、といった話を聞いて、「うちの親は貯金があるから無理だわ…」と諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そうした状況で、ふと「預貯金を引き出して減らせばいいのでは?」と考えたり、相続時精算課税制度や終身保険の非課税枠を使って生前贈与で財産を調整することに問題はないのだろうかと、頭を悩ませていませんか?
「もし、そんなことをしたら、介護保険負担限度額認定の申請時に、預貯金の引き出しや生前贈与がバレるんじゃないかしら…?」と心配になり、インターネットで検索すると「介護保険負担限度額認定 預貯金 バレる 知恵袋」のような情報がたくさん出てきて、結局どうすれば良いのか分からなくなってしまいますよね。
また、介護保険の負担限度額申請に必要なものは何なのか、預貯金はどこまで調べるのか、預貯金が1000万円、2000万円だとどうなるのか、といった疑問も尽きないかと思います。
この制度が適用されるのは、預貯金が500万円以下という話も聞いたり、「介護保険負担限度額認定の預貯金 調査方法」なんてキーワードまで出てきて、もう頭の中はごちゃごちゃではないでしょうか。
さらに、介護保険負担限度額認定と預貯金と生命保険の関係はどうなのか、介護保険負担限度額申請は預貯金がいくら以下ならできるのか、そして介護保険負担限度額の通帳の写しが必要な理由など、知りたいことは山ほどあるはずです。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、介護保険負担限度額認定と預貯金、そして生前贈与に関する疑問をひとつずつ丁寧に解説していきます。この記事を読み終える頃には、これらの制度について正しく理解し、安心して次のステップへ進めるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
この記事のポイント
- 介護保険負担限度額認定の申請条件と預貯金の基準が分かります
- 預貯金の調査方法や、どこまで調べられるかという疑問が解決します
- 意図的な預貯金引き出しや生前贈与がどう扱われるかを理解できます
- 制度を賢く利用するための正しい知識を身につけることができます
目次
介護保険負担限度額認定の申請と預貯金・生前贈与について

介護保険の負担限度額申請は預貯金がいくら以下ならできますか?
介護保険の負担限度額認定を申請するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。その中で最も多くの方が気にされるのが、預貯金の額ではないでしょうか。この制度は、施設に入所されている方の食費や居住費を軽減する目的で設けられており、誰でも無料で利用できるものではありません。
では、預貯金は具体的にいくら以下なら申請できるのでしょうか。結論からお伝えしますと、利用者負担段階によって基準が異なるとされています。まず、大前提として本人および世帯全員が住民税非課税であることが必須となります。
その上で、預貯金等の資産が一定額以下であることが必要です。具体的には、単身者の場合は500万円から1,000万円以下、夫婦の場合は1,500万円から2,000万円以下と、負担段階に応じて基準が分かれています。例えば、最も負担が軽い第1段階や第2号被保険者(40~64歳)であれば、単身1,000万円、夫婦2,000万円以下が基準となります。
ちなみに、先日担当させていただいたお客様で、「住民税は非課税なのに、どうして介護保険の限度額認定が受けられないんでしょう?」とご相談いただいたことがありました。詳しくお話を伺うと、預貯金は1,000万円をわずかに上回っていたのです。この場合、残念ながら制度の対象外となってしまうため、介護負担の軽減が受けられないというケースがあるのですね。
介護保険負担限度額認定を受けるには、住民税非課税世帯であることに加えて、預貯金等の資産額が利用者負担段階ごとの基準を満たしていることが必要です。ご自身の状況を確認してみてください。
介護保険負担限度額認定申請に必要なものは?

介護保険負担限度額認定の申請には、いくつかの書類を準備する必要があります。手続きをスムーズに進めるためにも、事前に確認しておきましょう。主に必要となるのは、以下の書類とされています。
- 介護保険負担限度額認定申請書
- 介護保険被保険者証
- 本人と配偶者の預貯金通帳の写し
- 有価証券や生命保険などの資産がわかる書類の写し
- 来庁する方の本人確認書類
特に重要なのが、介護保険負担限度額の通帳の写しです。この通帳の写しは、金融機関、支店名、口座番号、名義人が確認できるページや、直近2ヶ月分の取引履歴がわかるページなど、市区町村によって提出を求められる箇所が異なりますので、申請先の自治体のウェブサイトなどを確認するようにしてくださいね。
私の場合、申請に必要な書類を揃えるのが結構大変でした。「どれをコピーすればいいの!?」ってパニックになりかけましたが、市区町村の窓口で丁寧に教えてもらえたので一安心でしたよ。分からないことは早めに相談するのが一番ですね。
また、申請は市区町村の窓口だけでなく、郵送でも受け付けているところが多くあります。郵送の場合、書類のコピーを同封する必要があるため、漏れがないようにしっかりと確認しましょう。
介護保険負担限度額認定の預貯金1000万円・2000万円の基準とは
介護保険負担限度額認定の対象となる預貯金基準額には、単身で1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下という金額が設定されています。これは、第1段階の対象者や第2号被保険者(40〜64歳)に適用される基準となります。
この基準は、資産の多い方が介護保険の負担軽減制度を利用することなく、公平な負担を保つために設けられたものとされています。ただし、この「預貯金」には、現金や普通預金、定期預金だけでなく、有価証券や投資信託、金・銀などの貴金属も含まれるため注意が必要です。
介護保険の限度額申請における預貯金は、現金や預金だけではありません。株や投資信託なども含まれますので、すべての資産をしっかりと把握しておくことが大切です。また、住民税非課税世帯であることが大前提となります。
たとえば、担当させていただいたお客様の中には、銀行の普通預金は少なかったものの、株や投資信託で多額の資産をお持ちで、残念ながら1,000万円の基準を超えてしまっていたケースがありました。本人としては預金だけで判断されると思っていたため、大変驚かれていました。
認定の手続きを進める際には、本人と配偶者の全ての金融資産を正直に申告する必要があります。もし、事実と異なる申請をしてしまうと、後から不正が発覚する可能性もあるので注意しましょう。
介護保険負担限度額認定の預貯金500万円という噂は本当?

介護保険の限度額認定について調べると、「預貯金500万円」という数字を目にすることがあります。これは、利用者負担段階のうち、特に所得が多い方が該当する第3段階(2)の単身者の預貯金基準額とされています。
利用者負担段階は、本人の年金収入額と合計所得金額に応じて4段階に分かれています。そのため、預貯金の基準額も利用者負担段階によって変わるのです。500万円という基準は、その中でも最も厳しい条件のひとつとなります。
「介護保険負担限度額認定の預貯金500万円という噂は本当?」という疑問は、この第3段階(2)に当てはまる場合に限って本当と言えるでしょう。多くの場合、この金額が一人歩きしてしまい、全員が500万円以下でないといけないと誤解される方がいらっしゃるようです。ご自身の世帯がどの段階に当てはまるのか、まずは確認してみることが重要ですね。
利用者負担段階 | 単身者の預貯金等基準額 | 夫婦の預貯金等基準額 |
---|---|---|
第1段階 | 1,000万円以下 | 2,000万円以下 |
第2段階 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
第3段階(1) | 550万円以下 | 1,550万円以下 |
第3段階(2) | 500万円以下 | 1,500万円以下 |
この表を見ると、利用者負担段階によって預貯金等の基準額が大きく異なることがわかりますよね。ご自身の世帯がどの段階に該当するか、市区町村の担当窓口に確認してみるのが確実な方法です。
介護保険負担限度額認定で預貯金の調査方法
介護保険負担限度額認定の申請を行うと、預貯金等の資産が本当に基準額以下であるかを調査されます。この調査は、無料で受けられるこの制度を本当に必要としている方に届けるため、そして不正受給を防ぐために行われるものです。
主な調査方法は、申請時に提出する「預貯金等に係る申告書」と、添付書類として求められる通帳の写しや残高証明書などを照合することです。多くの場合は、直近2ヶ月分の取引履歴が分かるページの写しが必要となります。これを提出することで、本人や配偶者の預貯金や資産状況がわかります。
預貯金の調査は、主に申請書類と添付された通帳の写しや残高証明書などで行われます。これにより、介護保険の負担軽減制度の要件を満たしているか確認されるわけですね。
さらに、市区町村によっては、提出された情報に疑義が生じた場合など、必要に応じて金融機関に口座情報の照会を行うこともあります。これは、地方自治法や介護保険法に基づいて認められている権限とされています。そのため、正確な情報を申請することが大変重要になります。
また、預貯金の調査は本人だけでなく、世帯分離している配偶者の預貯金も対象となりますので注意が必要です。これは、介護負担軽減の手続きにおいて、世帯全体での資産状況が判断基準となるためです。
介護保険の負担限度額認定でどこまで調べる?

「介護保険の負担限度額認定でどこまで調べるの?」と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。市区町村が行う調査は、預貯金や資産の状況を多角的に確認するために、かなり広範囲に及ぶとされています。
主に、本人と配偶者(世帯分離している場合も含む)の預貯金や有価証券などの資産が対象となります。これには、普通預金や定期預金はもちろんのこと、株券、投資信託、国債、地方債、社債なども含まれます。また、金や銀といった貴金属の積立購入分も、時価評価額が容易に把握できるものは対象となるとされています。
以前、担当させていただいたお客様が「タンス預金はバレないですよね?」とおっしゃっていました。もちろん、タンス預金は通帳の写しではわかりませんが、申告書にはタンス預金の額も自己申告することになっています。嘘の申告をすると、後から不正が発覚したときに大変なことになってしまいます。正直に申告することが一番大切なんですよ。
万が一、虚偽の申請をしてしまうと、後から不正受給と判断されることがあります。不正受給と認められた場合、それまでに軽減された負担額に加えて、最大2倍の加算金の納付が求められることもあるとされています。これらの理由から、介護保険の限度額認定の手続きは、正確な情報に基づいて行う必要があります。
介護保険負担限度額認定と預貯金・生前贈与に関する疑問

介護保険負担限度額認定の申請時に預貯金を引き出しはバレる?
「介護保険負担限度額認定の申請前に、預貯金を引き出して減らせば良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論から言うと、この方法はバレる可能性が非常に高いので、絶対におすすめできません。
その理由は、申請時に提出する通帳の写しが、直近の一定期間(概ね2ヶ月)の取引履歴を求めることが多いからです。この期間に不自然な高額の引き出しがあると、市区町村の担当者は必ず「なぜこの時期にこれだけの金額を引き出したのか」と疑問を持ちます。
私の担当のお客様の中にも、「介護の手続きの前に、娘さんに一気に預貯金を贈与しようと考えている」とおっしゃった方がいました。私はすぐに「それはちょっと待ってください!」とお止めしました。なぜなら、その行為は介護保険の制度から見て、意図的に資産を減らしたと判断されてしまい、最悪の場合、不正受給とみなされてしまうからです。お客様も、「そんなことになるなんて知らなかった」と驚かれていました。
この介護負担軽減制度は、あくまでも「客観的に見て資産が少ない方」を救済するためのものです。意図的に預貯金を減らす行為は、この制度の趣旨から外れてしまいます。もし、不正がばれると、軽減された限度額に加えて加算金を納付する必要が出てくるだけでなく、今後の申請に影響が出る可能性もあります。
介護保険負担限度額認定で預貯金がばれる理由とは

「介護保険負担限度額認定で預貯金がばれる」と聞くと、どうしてそんなことがわかるの?と思いますよね。預貯金がばれる主な理由は、申請時に提出する申告書と添付書類の矛盾や、市区町村の照会権限にあります。
申請書には、本人と配偶者の預貯金や有価証券の残高を記入する欄があります。そこに記入された金額と、添付した通帳の写しや残高証明書の金額が一致しているか、担当者は必ず確認します。もし、記載内容に不自然な点があれば、追加で書類の提出を求められることもあります。
介護保険の限度額認定手続きでは、申請書類に虚偽の記載をしたり、提出書類を意図的に隠したりすると、不正受給と見なされる可能性があります。手続きを行う際は、正直に正確な情報を申告しましょう。
また、介護保険法や関連法令により、市区町村は金融機関に対して本人や配偶者の口座情報を照会する権限を持っているとされています。そのため、申請書類に記載されていない口座や資産が後から発覚することもあります。これが、預貯金がばれることにつながる大きな理由です。
介護保険負担限度額認定と預貯金に関する知恵袋のQ&A
介護保険負担限度額認定についてインターネットで検索すると、「知恵袋」のようなQ&Aサイトでたくさんの質問や回答を目にしますよね。実際に、データベースにあった「安心介護Q&A」にも、同じようなお悩みがありました。
【Q】「母の介護保険の認定が出たのですが、介護保険負担限度額軽減の制度を使うのに貯蓄額1,000万円以上あると制度が使えないことを知りました。認定は出ましたがまだ使う前なので、その前に生前贈与などを使い預貯金を減らせば問題ないでしょうか?」
これは、非常に多くの方が抱く疑問だと思います。この質問に対する専門家からの回答は、「合法な方法により財産の贈与などを行うことは問題ありませんが、介護保険負担限度額認定の要件を満たすために意図的に資産を減らしたと判断されると、不正受給と見なされる可能性がある」というものでした。
つまり、税法上の贈与が適法であっても、介護保険制度の観点から見ると、負担軽減を目的とした意図的な資産減少は認められない場合があるということです。介護負担軽減という目的のために資産を減らす手続きは、十分に注意して行う必要があります。
介護保険負担限度額認定と預貯金・生命保険の関係

介護保険負担限度額認定の申請における預貯金と生命保険の関係も、よくご質問いただくポイントです。生命保険は、介護保険の負担軽減制度の対象となる資産に含まれるのでしょうか?
介護保険の限度額認定の預貯金等の対象となる資産には、一般的に解約返戻金のある貯蓄型の生命保険が含まれるとされています。これは、解約すれば現金として受け取れる資産とみなされるためです。一方、掛け捨て型の生命保険は、基本的に解約返戻金がないため、預貯金等の資産には含まれないとされています。
補足: 介護保険の負担軽減制度と、生命保険に設定されている非課税枠は全く別の制度です。両方を混同して考えないように注意しましょう。
ご自身の加入している生命保険が、預貯金等の資産に該当するかどうかは、保険証券や保険会社に確認してみるのが確実な方法です。手続きを始める前に、無料の専門家相談窓口やケアマネージャーさんに相談して、正確な情報を得ることが大切です。
介護保険負担限度額認定で通帳の写しを提出する理由
介護保険負担限度額認定の手続きを進める際、なぜ通帳の写しの提出が必要なのでしょうか。これは、介護保険の負担軽減制度が、本当に経済的に困窮している方々を支援するための制度だからです。
市区町村は、申請者が住民税非課税世帯であること、そして預貯金等の資産が基準額以下であることを客観的に確認する必要があります。そのため、本人の預貯金状況を証明するための重要な書類として、通帳の写しが求められるのです。
また、通帳の写しは、直近の資産状況だけでなく、過去の不自然な取引がないかも確認するために用いられることがあります。例えば、申請直前に高額な引き出しがあった場合、それは限度額認定の要件を満たすために意図的に資産を減らしたと見なされ、不正受給の疑いをかけられる可能性も出てきます。
介護の負担を少しでも減らしたいと考える気持ちはよく分かりますが、手続きは誠実に行うことが何よりも重要です。
介護保険負担限度額認定と預貯金・生前贈与の注意点まとめ

介護保険負担限度額認定は、経済的な負担を軽減してくれる大切な制度です。しかし、預貯金や生前贈与に関するルールを正しく理解しておかないと、思わぬ落とし穴にはまることもあります。
- 介護保険負担限度額認定は、住民税非課税世帯であることが必須です。
- 預貯金の基準額は、単身1,000万円以下、夫婦2,000万円以下というものではありません。利用者負担段階によって、基準額は異なります。
- 預貯金には、現金や預金だけでなく、株や投資信託、金なども含まれます。
- 申請時には、本人だけでなく世帯分離している配偶者の預貯金も確認されます。
- 申請に必要な書類として、介護保険被保険者証や通帳の写しなどがあります。
- 申請直前に預貯金を減らすような不自然な引き出しを行うと、不正受給とみなされる可能性があります。
- 市区町村は、必要に応じて金融機関に口座情報を照会する権限を持っています。
- 意図的な生前贈与も、不正受給と判断されることがあります。
- 介護保険の負担軽減制度と生命保険の非課税枠は、全く別のものです。
- 不正受給と判断されると、限度額軽減分に加えて最大2倍の加算金の納付が求められることがあります。
- 制度の内容や手続き方法は、各市区町村によって異なる場合があるため、必ず事前に確認しましょう。
- 無料の専門相談窓口やケアマネージャーに相談して、正しい情報を得ることが大切です。
- 介護負担を減らすために、制度を悪用するのではなく、正しく理解して賢く利用しましょう。
- この手続きは本人だけでなく、家族みんなで介護の現状を把握し、助け合うことが必要です。
- この記事が、介護保険負担限度額認定預貯金生前贈与について悩んでいる方の不安を少しでも軽くできたら嬉しいです。
参考
・義理の祖母の葬式どうする?参列マナーや香典、準備の完全解説
・お墓花輪ゴムは外すべき?花の供え方と失敗しないマナー完全ガイド

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