こんにちは!相続のことって、本当にややこしいですよね。特に「配偶者なら相続税がかからないから大丈夫」なんて聞くと、ついつい安心しちゃいます。
でも、本当に相続税がかからない時は申告しなくていいのでしょうか?例えば、相続税の配偶者控除は申告が必要ですか?という根本的な疑問や、相続税は3000万円以下でも申告が必要ですか?といった基礎控除の話。
もし配偶者が全て相続する場合や、我が家のように相続人が配偶者と子供2人だったらどうなるの?なんて考え始めると、もう頭がパンクしそう!
相続税がかからない場合の手続きや申告書の書き方、万が一の申告漏れのリスク、申告不要の証明はいるの?なんて細かいことまで気になりますよね。
それに、この制度のデメリットも知っておきたいところ。そんなあなたのモヤモヤを、この記事でスッキリ解決しますね!
この記事のポイント
- 配偶者控除で申告が「不要なケース」と「必要なケース」がわかる
- 申告が必要な場合の手続きや申告書の書き方のポイントを理解できる
- 申告漏れによるペナルティや制度のデメリットを把握できる
- 二次相続まで見据えた賢い遺産分割のヒントが得られる

終活・相続の専門家やえです。『うちは財産が多くないから大丈夫』『配偶者だから税金はゼロ』という思い込みが、実は一番危険なんです。申告が必要なのにしないと、使えるはずの特例が使えず、追徴課税も発生します。この記事で正しい知識を身につけ、損しない相続を実現しましょう。
相続税配偶者控除で申告不要となる条件

相続税の配偶者控除は申告が必要ですか?
いきなり結論からお伝えしますね。
相続税の配偶者控除(正しくは「配偶者の税額軽減」といいます)を使って相続税がゼロになる場合でも、原則として相続税の申告は必要です。
「え、税金がかからないのにどうして?」と思いますよね。その理由は、この配偶者控除という制度が、「きちんと申告手続きをすること」を条件に適用される特例だからなんです。
つまり、申告をしないと「配偶者控除を使います」という意思表示が税務署に伝わらないため、特例が適用されません。その結果、本来払う必要のなかった多額の相続税や、後ほど説明するペナルティの税金まで課せられてしまう可能性があるのです。
【注意】申告しないと特例は適用されません!
「うちは配偶者控除で税金ゼロだから申告不要」という自己判断は非常に危険です。この特例の恩恵を受けるためには、期限内に正しく申告することが大前提となります。
そもそも配偶者の相続税がかからない仕組み

では、なぜ配偶者にはこれほど手厚い制度が用意されているのでしょうか。これは「配偶者の税額軽減」の仕組みを知るとよくわかります。
この制度は、亡くなった方(被相続人)の財産形成には配偶者の貢献があったこと、そして残された配偶者の今後の生活を保障するという目的から設けられています。
具体的には、配偶者が相続する遺産が、以下のどちらか多い金額までは相続税がかからない、という内容です。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
法定相続分というのは、法律で定められた相続の目安となる割合のことです。例えば、相続人が配偶者と子供2人の場合、配偶者の法定相続分は遺産全体の2分の1です。
もし遺産総額が3億円だったとしても、配偶者が法定相続分である1億5,000万円までを相続するなら、1億6,000万円の枠内に収まるので相続税はかかりません。
もし遺産が10億円で、法定相続分の5億円を相続した場合でも、法定相続分の範囲内なので配偶者の相続税はゼロになる、というわけです。とても大きな軽減制度ですよね。
この制度について、詳しくは国税庁のウェブサイトでも解説されていますので、参考にしてみてください。
相続税は3000万円以下でも申告は必要か
ここで少し話が変わりますが、「相続税は3,000万円以下なら申告不要」と聞いたことはありませんか?これは、相続税の「基礎控除」という、また別の非課税枠の話になります。
相続税には、誰でも無条件で使える「基礎控除」というものがあります。この計算式は以下の通りです。
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人なら、基礎控除額は「3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円」となります。
ポイント
相続した遺産の総額が、この基礎控除額をそもそも超えていない場合は、相続税はかかりません。そして、このケースに限り、相続税の申告も不要です。
「相続税配偶者控除で申告不要」というキーワードで調べている方が混同しやすいのが、この点です。 配偶者控除という「特例」を使って税金がゼロになる場合は申告が「必要」。
基礎控除の範囲内に遺産が収まっていて税金がかからない場合は申告が「不要」。 この違いをしっかり覚えておきましょう。
配偶者が全て相続する場合の相続税の扱い

「それなら、手続きが面倒だし、とりあえず配偶者が全て相続すれば簡単なのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに、配偶者が遺産の全てを相続した場合、その金額が1億6,000万円や法定相続分を超えていたとしても、配偶者控除を適用すれば配偶者自身の相続税はゼロにできます(ただし、申告は必要です)。
しかし、この方法は次の相続(二次相続)で、お子さんたちの税負担が非常に重くなってしまう可能性があるため、注意が必要です。これは「配偶者控除のデメリット」として、後ほど詳しく解説しますね。
安易に「配偶者が全て相続する」という選択をする前に、家族全員で将来のことも話し合うことが大切ですよ。
相続税を配偶者と子供2人で分けるケース
それでは、一番よくあるケースとして、相続人が「配偶者と子供2人」の場合で具体的に見てみましょう。
遺産総額 | 基礎控除額 | 課税対象額 | 配偶者の相続分 | 配偶者の相続税 |
---|---|---|---|---|
4,000万円 | 4,800万円 | 0円 | - | 申告不要 |
8,000万円 | 4,800万円 | 3,200万円 | 4,000万円(1/2) | 0円(要申告) |
4億円 | 4,800万円 | 3億5,200万円 | 2億円(1/2) | 0円(要申告) |
補足
上記の表はあくまで配偶者が法定相続分(1/2)を相続した場合の簡単なシミュレーションです。実際の相続税の総額は、全体の課税遺産総額から計算し、それを各相続人の相続割合であん分するため、計算はもう少し複雑になります。
この表からわかるように、
- 遺産総額が基礎控除額(4,800万円)以下の場合は、そもそも申告が必要ありません。
- 遺産総額が基礎控除額を超えていても、配偶者の相続分が1億6,000万円以下または法定相続分の範囲内であれば、申告をすることで配偶者の相続税は0円になります。
ご自身の状況がどちらに当てはまるのか、冷静に確認することが第一歩ですね。
知っておきたい相続税の配偶者控除デメリット

ここまで、配偶者控除の大きなメリットについてお話してきましたが、実はデメリットというか、注意すべき点も存在します。それが「二次相続」の問題です。
二次相続とは、最初に亡くなったお父様からお母様への相続を「一次相続」とした場合、その次にお母様が亡くなって子供たちへ財産が相続されることを指します。
一次相続で配偶者控除を最大限に活用し、お母様が多くの財産を相続したとします。そうすると、お母様自身の財産が大きくなりますよね。そのお母様が亡くなった時、今度は子供たちがその大きな財産を相続することになります。
二次相続での注意点
- 配偶者控除は使えない:子供たちの相続では、当然ながら配偶者控除は適用できません。
- 基礎控除額が減る:相続人の数がお母様が亡くなったことで減るため、基礎控除の額も小さくなります。(例:父の相続では相続人3人→4,800万円、母の相続では相続人2人→4,200万円)
結果として、一次相続で節税した以上に、二次相続で子供たちが支払う相続税が多額になってしまうケースがあるのです。
一次相続と二次相続を合わせたトータルの税額で考えると、一次相続である程度は配偶者以外(子供たち)にも財産を分けておいた方が、結果的に納税額が少なくなることも少なくありません。
遺産分割は、目先のことだけでなく、家族の将来を見据えてシミュレーションすることがとても重要です。専門家に相談して、最適な分割割合を検討することをお勧めします。

終活・相続の専門家やえです。『うちは財産が多くないから大丈夫』『配偶者だから税金はゼロ』という思い込みが、実は一番危険なんです。申告が必要なのにしないと、使えるはずの特例が使えず、追徴課税も発生します。この記事で正しい知識を身につけ、損しない相続を実現しましょう。
相続税配偶者控除申告不要と判断する注意点

相続税がかからない場合の手続きはどうする?
それでは、実際に申告が必要になった場合の手続きの流れを簡単に見ていきましょう。相続税の申告と納税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
相続税申告までの大まかな流れ
- 遺言書の確認:まず遺言書がないかを確認します。
- 相続人の確定:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを集め、誰が相続人になるのかを確定させます。
- 相続財産の調査と評価:預貯金、不動産、有価証券など、全ての財産をリストアップし、相続税計算上の評価額を算出します。
- 遺産分割協議:相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。まとまったら「遺産分割協議書」を作成します。
- 相続税申告書の作成・提出:税務署から申告書を入手し、必要事項を記入。戸籍謄本や遺産分割協議書のコピーなどの必要書類を添付して、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出します。
10か月というと長く感じられるかもしれませんが、財産調査や遺産分割協議には思いのほか時間がかかるものです。
特に相続人間で意見がまとまらないと、あっという間に期限が迫ってきます。早め早めに準備を始めることが肝心ですよ。
配偶者控除の申告書書き方のポイント

配偶者控除を適用するための相続税申告書は、専門家でなくても作成は可能です。国税庁のウェブサイトには詳しい手引きもありますし、税務署で相談に乗ってもらうこともできます。
申告書を作成する上での重要なポイントは、第5表「配偶者の税額軽減額の計算書」を正しく記入することです。ここに、配偶者が取得した財産の詳細や、税額軽減額の計算過程を記入します。
また、申告書には以下の書類を添付するのが一般的です。
- 被相続人の全ての戸籍(除籍)謄本
- 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続財産に関する資料(預金残高証明書、不動産の登記事項証明書など)
財産の種類が多い場合や評価が複雑な不動産がある場合は、記入が難しくなります。もし少しでも不安があれば、無理せず税理士などの専門家に依頼するのが安心ですね。費用はかかりますが、正確な申告で後々のトラブルを避けられるメリットは大きいでしょう。
相続税の申告不要を証明する必要はあるか
「遺産が基礎控除以下で、申告が不要な場合は、何か証明書などを提出する必要があるの?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんね。
結論として、相続税の申告が不要な場合に、そのことを証明する書類を税務署に提出する必要は特にありません。
ただし、数年後に税務署から「相続税についてのお尋ね」という書類が送られてくることがあります。これは、税務署が亡くなった方の財産状況などから「相続税の申告が必要な可能性があるのでは?」と判断した場合に送付されるものです。
この「お尋ね」が届いたら、無視せずに必ず回答してください。財産を書き出して基礎控除以下であることを示せば、それで手続きは完了します。
慌てないためにも、申告不要と判断した場合でも、なぜ申告が不要なのかを説明できる財産リストなどの資料は、きちんと整理して保管しておくと安心ですよ。
最も注意したい配偶者控除の申告漏れ

もし、配偶者控除などを使って申告が必要だったにもかかわらず、期限である10か月以内に申告をしなかった場合はどうなるのでしょうか。
この場合、残念ながらペナルティが課せられてしまいます。主なものに以下の税金があります。
申告漏れのペナルティ
- 延滞税:法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかる、利息のような税金です。
- 無申告加算税:期限内に申告しなかったことに対する罰金的な税金です。税務署の調査を受ける前に自主的に申告すれば軽減されることがあります。
- 重加算税:財産を意図的に隠したり、事実を偽って申告しなかったりした場合に課される、最も重いペナルティです。
さらに重要なのは、期限後に申告した場合、原則として配偶者控除や小規模宅地等の特例といった、税額を大きく軽減できる制度が使えなくなってしまうことです(一定の要件を満たせば適用できる場合もあります)。
「知らなかった」では済まされない大きな不利益を被ることになりますので、申告が必要かどうかを正しく判断し、期限を守ることが何よりも大切です。
相続税申告についてよくあるご質問FAQ
- 遺産分割協議が申告期限までにまとまらない場合は、どうすればよいですか?
-
相続人間での話し合いがまとまらず、申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割が決まらないケースは少なくありません。その場合は、一旦、各相続人が法定相続分で財産を取得したものとして仮の申告と納税を行います。この時点では配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、遺産分割が確定していることを前提とする有利な特例は使えませんが、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておくことで、後から対応が可能です。無申告になることを避け、まずは期限内に仮の申告を済ませることが重要です。
- 申告書はどこの税務署に提出すればよいのでしょうか?
-
相続税の申告書は、亡くなられた方(被相続人)の最後の住所地を管轄する税務署に提出します。相続人(財産を受け取る側)の住所地を管轄する税務署ではないので、注意が必要です。例えば、亡くなった親が北海道に住んでいて、相続する子供が東京に住んでいる場合でも、申告書の提出先は北海道の税務署になります。管轄の税務署がどこか分からない場合は、国税庁のウェブサイトで確認できます。
- 相続財産が不動産ばかりで、納税資金がすぐに用意できません。どうしたらよいですか?
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相続税は現金一括で納付するのが原則ですが、納税が困難な場合には「延納」や「物納」という制度を利用できる可能性があります。延納担保を提供し、利子税を支払うことで、年単位での分割払いが認められる制度です。延納でも金銭での納付が難しい場合に、不動産や有価証券など、相続した財産そのもので税金を納める制度です。どちらの制度も利用するには税務署長の許可が必要で、申請期限や満たすべき条件が細かく定められています。納税資金に不安がある場合は、早めに税務署や税理士に相談することをお勧めします。
- 申告後に、新たに財産が見つかった場合はどうすればよいですか?
-
相続税の申告が終わった後に、故人の預金通帳や有価証券など、申告していなかった財産が見つかることがあります。その場合は、修正申告または更正の請求という手続きを行う必要があります。修正申告当初の申告額が少なすぎた場合に行います。新たに見つかった財産を加えて再計算し、追加で税金を納めます。更正の請求当初の申告額が多すぎた場合(例:財産評価の誤りなど)に行い、払い過ぎた税金の還付を求めます。
税務署から指摘される前に自主的に修正申告をすれば、ペナルティである過少申告加算税がかからない場合がありますので、気づいた時点ですぐに対応することが大切です。

終活・相続の専門家やえです。『うちは財産が多くないから大丈夫』『配偶者だから税金はゼロ』という思い込みが、実は一番危険なんです。申告が必要なのにしないと、使えるはずの特例が使えず、追徴課税も発生します。この記事で正しい知識を身につけ、損しない相続を実現しましょう。
結論:相続税配偶者控除申告不要の正しい判断
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。ご自身のケースがどれに当てはまるか、最終チェックをしてみてください。
- 配偶者控除は正式には「配偶者の税額軽減」という制度
- 1億6,000万円か法定相続分の多い方まで配偶者の相続税は非課税
- この特例を使って税額がゼロになる場合でも原則として申告は必要
- 申告をしないと配偶者控除の特例は適用されない
- 相続財産が基礎控除額以下の場合は相続税がかからず申告も不要
- 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する
- 安易に配偶者が全て相続すると二次相続で子供の負担が増える可能性がある
- 相続税の申告と納税の期限は相続開始を知った日から10か月以内
- 申告が必要な場合は遺産分割協議を早めに進めることが大切
- 申告書には戸籍謄本や遺産分割協議書などの添付が必要
- 基礎控除以下で申告不要の場合に証明書の提出は不要
- ただし税務署から「お尋ね」が来たら回答義務がある
- 申告漏れには延滞税や無申告加算税などのペナルティがある
- 期限後の申告では有利な特例が使えなくなるリスクが高い
- 申告が必要か不要かの自己判断は禁物で専門家への相談が安心
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大阪不動産・FPサービス株式会社 代表
15年以上にわたり1,500組を超えるご家族の相続や不動産のお悩みに、専門家として寄り添ってまいりました。私の信条は、法律や数字の話をする前に、まずお客様ご家族の歴史や言葉にならない想いを丁寧に「聞く」こと。信頼できる各分野の専門家チームと共に、皆様が心から安心できる最善の道筋をオーダーメイドでご提案します。一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。
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