「60代からのエンディングノート活用術」と検索されたあなた、それは単なるノート選びの話ではなく、人生の後半戦をどう生きるかという問いかけそのものです。
自分らしく終活を進めたいけれど、「エンディングノートは遺言の代わりになりますか?」といった不安や、「終活ノートは法的効力がありますか?」という疑問も多いのが実際です。
このページでは、60代からのエンディングノート活用術を軸に、「エンディングノートの活用法は?」や「終活のエンディングノートにはどんな内容を書けばいいですか?」といったリアルなお悩みに、わかりやすく、プロの視点でお応えしていきます。
どこから手をつけていいか迷っている方も、これを読めば安心して一歩を踏み出せます。
この記事のポイント
- エンディングノートと遺言書の違いや役割分担を理解できる
- 書くべき項目や優先順位が明確になる
- 医療・介護・財産整理など終活の具体的な内容がわかる
- 家族と共有するための保管方法と伝え方がわかる
60代からのエンディングノート活用術とは

エンディングノートの活用法は?
エンディングノートとは、自分の意思や希望を家族に伝えるためのノートです。
終活の一環として注目されていますが、使い方によってその効果は大きく変わります。
では、どのように活用すればよいのでしょうか。
まず意識しておきたいのが、エンディングノートには書く順番や正解はないということです。
「自分が書けるところからでいい」と考えるだけで、心理的なハードルが下がります。
例えば、病気や介護に関する項目は将来の安心のために記しておきたい内容のひとつです。
延命治療の希望、在宅介護か施設介護かといった選択は、いざという時に家族が迷わず判断できる材料になります。
次に意識したいのが財産や契約の整理です。
エンディングノートには、銀行口座や保険、不動産など、重要な情報を一覧にして書いておくと便利です。
以下のように分類しておくと、家族にとっても分かりやすくなります。
項目 | 内容の例 |
---|---|
銀行口座 | 銀行名・支店・口座番号 |
保険 | 保険会社・種類・証券番号 |
不動産 | 所有地・名義・登記簿情報 |
借入・ローン | 借入先・残高・返済条件 |
特に不動産に関する情報は忘れがちですが、相続時に大きなトラブルを防ぐカギになります。
親族が知らない土地があったという例も多く、あらかじめ整理しておくと安心です。
また、形見分けや伝えたい思いを書くことも、エンディングノートの大事な役割です。
「この指輪は娘に渡してほしい」「思い出のアルバムはこの棚にある」といったメッセージは、家族の心の支えにもなります。
感謝の言葉や家族への手紙を添えておくのも、残された人にとって大きな安心につながるでしょう。
さらに、エンディングノートを活用するコツとして、以下の3点を意識してみてください。
- 一度書いたら終わりではなく、定期的に見直すこと
- ノートの保管場所を家族に伝えておくこと
- 書いた内容について、元気なうちに家族と話し合っておくこと
このように、エンディングノートは単なるメモではなく、家族との対話のきっかけになる存在です。
終活の第一歩として気軽に始めてみると良いでしょう。
このような活用法を押さえたうえで、次に気になるのは「このノートに法的効力があるのかどうか」という点ではないでしょうか。
終活ノートは法的効力がありますか?

多くの方が誤解しやすいのですが、エンディングノート、つまり終活ノートには法的効力はありません。
これはどういうことかというと、ノートに「財産は長男にすべて相続してほしい」と書いても、法的にはその通りにはなりません。
遺言書と異なり、エンディングノートは本人の希望を伝える道具に過ぎず、法律で効力が認められていないのです。
具体的な違いを比較すると、以下のようになります。
項目 | エンディングノート | 遺言書 |
---|---|---|
法的効力 | なし | あり(条件付き) |
書式の自由度 | 高い | 厳格に決まっている |
書きやすさ | 誰でも書ける | 専門的知識が必要なことも |
主な内容 | 介護、葬儀、思い、財産目録など | 財産分与、相続人の指定、遺贈など |
このように見ると、エンディングノートは“心”を伝えるもの、遺言書は“法”を伝えるものと言い換えることができます。
例えば「私の着物は娘に譲りたい」とノートに書いても、それが遺言書でない限り、法的な拘束力はありません。
しかし、家族がそれを知っていれば、遺志として尊重してくれる可能性は高いでしょう。
また、終活ノートで延命治療の拒否を明記していたとしても、それが医療現場で必ず反映されるとは限りません。
家族がその意向を知らずに延命を希望した場合、本人の意思とは異なる判断がなされることもあるのです。
このため、法的効力を求める場面では遺言書を、気持ちや希望を伝えるにはエンディングノートをと、役割分担して使い分けることが推奨されます。
ちなみに、公正証書遺言は公証役場で作成するため、形式や証人の問題で無効になるリスクが低く、財産分与などで確実に意思を残したい方におすすめです。
このような違いを理解しておくと、安心してノート作成や終活に取り組めます。
次に、具体的にどんな内容を書けば良いのか、さらに詳しく見ていきましょう。
エンディングノートは遺言の代わりになりますか?
結論から申し上げますと、エンディングノートは遺言の代わりにはなりません。
なぜなら、エンディングノートには法的効力がないためです。
遺言書は、法律で定められた様式に従って作成されることが条件となっており、公正証書遺言や自筆証書遺言といった種類によってもルールが異なります。
一方、エンディングノートは気軽に書ける個人的な記録帳のようなもので、たとえ「この財産は長男に」「この不動産は売却して費用を介護に使って」などと記しても、それを実行する法的な義務は家族には課されないのです。
実際、私たちが相談を受ける中でも、「エンディングノートに書いてある通りに分けてくれると思っていたのに、兄弟でもめてしまった」というケースは少なくありません。
では、なぜエンディングノートを使う人が増えているのでしょうか。
その理由は、家族とのコミュニケーションツールとして非常に有用だからです。
エンディングノートは遺言書のように厳密な形式が不要で、自分の想いや価値観を柔軟に書き残せる点が最大の魅力です。
例えば、ある60代女性がノートに「私の希望は在宅介護をお願いしたい。無理なら施設でも構わないけれど、なるべく近くがいいです」と書き残していたことで、離れて暮らしていた娘さんが介護方針を迷わずに決められた、という話があります。
こうした内容は遺言書には通常含めないものですが、エンディングノートであれば感情や意向を柔らかく伝えることができるのです。
下記の表で、エンディングノートと遺言書の違いをまとめてみました。
項目 | エンディングノート | 遺言書 |
---|---|---|
法的効力 | なし | あり(民法に基づく) |
書き方の自由度 | 高い(形式自由) | 低い(法的要件あり) |
内容 | 財産以外の思いも自由に記載可能 | 主に財産分与・遺産処理の内容 |
書きやすさ | 書きやすい | 難易度が高い(専門知識要) |
証人・公証人の有無 | 不要 | 種類によって必要 |
両者は役割が異なりますので、併用することが理想的です。
まずはエンディングノートで想いを整理し、その上で重要な財産の分配や相続トラブルを避けたい内容については、遺言書でしっかりと法的効力を確保するのが良い流れだと言えるでしょう。
このように考えると、エンディングノートと遺言書は「感情と制度」「想いと手続き」を補い合う関係だと理解できます。
続いて、そもそもエンディングノートを始めるならいつがいいのか、という疑問にお答えしていきます。
エンディングノートを始めるタイミングは?

「エンディングノートって、いつから始めるべきなの?」と聞かれることは非常に多いです。
正解は人によって違いますが、60代を迎えたタイミングがひとつの目安です。
なぜかというと、60代は定年や介護、親の相続問題など人生の大きな転機が重なる時期だからです。
実際、内閣府の調査によれば、60代の約4割が「介護や終活を意識し始めた」と回答しています。
例えば、ある男性は定年を迎えた後、突然脳梗塞で倒れました。
幸い軽症でしたが、「自分に何かあったとき、家族は困らないだろうか」と不安になり、エンディングノートを始めたそうです。
このように、健康状態に問題がなくても、何かあったときに備えておくという意識が大切なのです。
では、エンディングノートを始める最適なタイミングの目安を、以下にまとめてみましょう。
タイミング | 理由 |
---|---|
60歳(定年退職)前後 | 人生の再設計、年金・介護・住まいの見直しが始まる |
親の介護や相続を経験したとき | 自身の将来をより具体的にイメージできるようになる |
健康診断で異常が見つかった時 | 今後の備えを見直すきっかけとなる |
住宅ローンや保険の見直し時 | 財産や契約の状況を一緒に記録しやすい |
始める時期が早すぎて損をすることはありません。
むしろ、途中で見直しながら更新していくというスタイルが、エンディングノートの利点です。
特に、不動産や複数の銀行口座、保険などをお持ちの方は、自分が元気なうちに整理しておくことで、家族にとっての負担を大きく減らすことができます。
ちなみに、私の知人は「子どもに迷惑をかけたくないから」と、65歳の誕生日にノートを一冊買い、その年のうちにほとんどの項目を埋め終えました。
そして毎年の誕生日に少しずつ見直す「マイライフ点検日」を設けたそうです。
このような習慣があると、気負いなく続けられますし、変化にも対応しやすくなります。
次は、エンディングノートにどんな内容を書くべきかについて、より具体的に見ていきましょう。
エンディングノートの書き方と注意点
エンディングノートを書くにあたって、大切なのは「書く内容」と「どのように書くか」の両方を意識することです。
このノートはあくまで家族へのメッセージであり、終活の一部として自分の想いや情報を整理する手段になります。
言ってしまえば、「もしものとき」に備えた人生の取扱説明書のようなものです。
まず、書くべき主な項目は以下の通りです。
項目カテゴリ | 内容例 |
---|---|
基本情報 | 氏名、生年月日、住所、連絡先、血液型など |
医療・介護 | 延命治療の希望、介護施設の希望、かかりつけ医 |
財産の情報 | 預貯金、不動産、保険、年金、株式など |
契約関係 | 電気・ガス・水道・携帯・サブスク契約 |
葬儀・お墓 | 葬儀の希望、宗教、誰に連絡してほしいか、お墓の希望 |
形見分け・遺言 | 思い出の品を誰に渡すか、遺言書の有無と保管場所 |
メッセージ | 家族への感謝の言葉や、残したい想い |
ここで注意していただきたいのは、エンディングノートに書いた内容は法的な拘束力を持たないという点です。
例えば、財産の分配をノートに記載したとしても、それが遺言書の代わりになるわけではありません。
財産や不動産に関わる内容は、必ず正式な遺言書として残す必要があります。
ですので、エンディングノートはあくまで希望を伝える補助的な位置づけだと理解しておいてください。
また、書く際には以下のような注意点にも気をつけましょう。
- 手書きかデジタルかは自分の管理しやすい方法で(ただし、保管場所は必ず家族に伝えること)
- 読みやすい字で、誰が読んでも内容が分かるように
- 定期的に見直し・更新する習慣を持つ(年に1回など)
- 自分だけで抱え込まず、信頼できる家族と共有する
例えば、70代の女性が「自分は在宅での介護を希望する」とノートに記していたものの、ノートの場所を家族が知らず、発見されたのは亡くなった後だったというケースがありました。
どんなに立派な内容でも、家族が見つけられなければ意味がありません。
つまり、書くだけでなく“伝える”ことも終活の一部として必要なのです。
ちなみに、最近ではエンディングノート専用の市販ノートも多く販売されており、書きやすさや項目の網羅性など、初めての方でも取りかかりやすい工夫がされています。
私の場合は、そういったテンプレートを活用しながら、自分らしい言葉で補足を加えていく方法をおすすめしています。
このように、形式に縛られすぎず「今の自分にとって大事なこと」から書き始めると、無理なく続けられます。
60代からのエンディングノート活用術の実践方法

終活のエンディングノートにはどんな内容を書けばいいですか?
まず押さえておきたいのは、エンディングノートには「何を書くべきか」が明確に決まっているわけではないということです。
しかし、多くの人が共通して必要と感じている項目はあります。
特に60代からの終活では、家族との意思疎通や老後の生活設計が重要になるため、それに沿った内容をしっかり整理する必要があります。
ここでは、実際にエンディングノートに記載すべき主要な項目を、目的別に整理してご紹介します。
項目カテゴリ | 内容例 | 書く目的 |
---|---|---|
基本情報 | 氏名、生年月日、連絡先、保険証番号 | 緊急時や介護時に家族が困らないため |
医療・介護 | 延命治療の希望、介護方法、かかりつけ医 | 判断が必要になったときに本人の意思を伝えるため |
財産・契約 | 預貯金・不動産・証券のリスト、保険契約 | 相続準備、財産整理をスムーズにするため |
終末期の希望 | 葬儀・納骨の希望、宗教や形式、誰を呼んでほしいか | 家族が迷わないようにするため |
遺言書との関係 | 遺言書の有無と保管場所 | 法的な手続きを確実にするため |
メッセージ | 家族への手紙、大切な人への感謝の言葉 | 感情的な整理と家族の安心のため |
例えば、ある70代女性の方は、自分が認知症になった後の介護について子どもと話し合う前に、まずエンディングノートに思いを書き出したそうです。
「在宅介護を希望するけれど、無理なら施設でもいい」という気持ちを伝えたところ、お子さんも介護の方針を話し合いやすくなり、家族の安心感につながったとのことです。
また、不動産の扱い方や財産の引き継ぎに関する記載も、将来のトラブル回避に役立ちます。
特に遺言書をまだ作成していない方は、現時点での財産の概要だけでも書いておくと、相続の準備段階として有効です。
こうした情報は一度に全部書こうとせず、少しずつでも進めていくのが現実的です。
このように、エンディングノートは単なる「死後の準備」ではなく、今を安心して生きるためのノートとして活用できます。
次に、書くためのノート自体の選び方を見ていきましょう。
書きやすいエンディングノートの選び方

エンディングノート選びにおいては、自分にとって「書きやすい」と感じるかどうかがとても大切です。
表紙が立派でも、中身がごちゃごちゃしていたり、記入欄が少ないと結局続かなくなってしまうんですね。
ここでは、選び方の基準を5つにまとめました。
選び方の視点 | チェックポイント |
---|---|
レイアウトの見やすさ | フォントが大きく、記入欄が広いか |
記載項目の網羅性 | 医療・介護・財産・葬儀など主要分野がカバーされているか |
書き込みやすさ | ペンで書いてにじまない紙質か、開いたままにしやすい製本か |
ガイドの有無 | 記入例や解説があるか |
更新のしやすさ | 書き直し可能な構成か、パソコン対応のPDFデータか |
例えば、字を書くのが疲れるという方には「チェック形式のノート」や「タブレット対応版」も人気があります。
また、ある60代の男性は「家族に迷惑をかけたくない」という思いから、内容がシンプルで一冊で完結するタイプのノートを選びました。
特に最近では、不動産や財産の記録を見える化できるテンプレート付きのノートも増えていて、家族と一緒に共有しやすいというメリットがあります。
ちなみに、私がこれまでに見た中でおすすめなのは、自分のライフスタイルや家族構成に合った項目だけを書けるカスタマイズ式ノートです。
自分に関係ない部分まで書こうとすると負担になりますので、必要なところだけ書き進める方が続きやすくなります。
このように、自分に合ったノートを選ぶことが、エンディングノートを習慣化する第一歩となります。
次は、家族と共有する際に気をつけたいポイントについて考えてみましょう。
財産・契約情報はどこまで書くべき?
エンディングノートを書くとき、どこまで財産や契約の情報を記載すればいいのか悩まれる方は少なくありません。
特に「全部書かないと意味がないのでは」と感じて、手が止まってしまうこともありますよね。
でも実際は、完璧を目指すよりも、子どもや家族が把握しづらいポイントを中心に、必要な情報を整理しておくことが大切です。
まず前提として、エンディングノートは遺言書とは違い、法的な拘束力がありません。
そのため、相続トラブルを避ける目的であれば、別途「遺言書」の作成が必要です。
とはいえ、家族が財産や契約情報を把握しておくことで、相続時の混乱を防ぐことができるため、エンディングノートには重要な情報を書いておく価値があります。
以下に、書いておくべき主な情報をまとめてみます。
項目 | 書く内容の例 |
---|---|
預貯金 | 銀行名・支店・口座種別・口座番号(任意) |
不動産 | 所在地・名義人・登記簿情報など |
有価証券・株式 | 証券会社・銘柄・保有数など |
保険契約 | 保険会社名・保険種類・契約番号 |
借入・ローン情報 | 金融機関名・残債額・返済方法 |
公共料金・契約サービス | 電気・ガス・水道・携帯・サブスクなど |
例えばある60代女性のケースでは、電気と水道の名義が亡き夫のままだったことで解約・名義変更に手間取り、家族が相当困ったという事例がありました。
このような情報をまとめておくだけでも、家族の負担は大きく減ります。
さらに、不動産の権利関係は複雑になりがちです。
特に複数の土地や建物を持っている場合には、簡単でもいいので「この家は誰に譲りたい」といった希望を残しておくと安心につながります。
とはいえ、全ての契約や財産を細かく書くのは現実的ではありません。
まずは大まかにでも、「家族が後から困りそうな部分」だけでも記載しておくことをおすすめします。
次に、書き方で迷うことの多い「医療や介護の希望」についても触れておきましょう。
医療・介護の希望をどう書くか?

エンディングノートを書く中で、医療と介護の希望をどう表現するかは、多くの人が悩むポイントです。
たとえば、延命治療についてどう思うか。
どこまでの介護を希望するか。
誰に決定を委ねたいか。
これらは、生き方の価値観が問われる内容でもあるため、あいまいにせず、できるだけ自分の言葉で書くことが大切です。
特に医療については、延命治療・人工呼吸器・胃ろうなど、現代医療では多くの選択肢があります。
下記のような形式で書いておくと、ご家族も状況に応じて判断しやすくなります。
医療行為 | 希望の有無 | 備考 |
---|---|---|
延命治療 | 希望しない | 苦痛を減らす治療は望む |
人工呼吸器の使用 | 希望しない | 意識がない状態なら中止も可 |
胃ろう・経管栄養 | 希望しない | 自分で食事が取れないなら中止 |
また介護についても、在宅を望むのか、施設でもよいのか、それぞれの状況によって希望は変わります。
例えば、70代男性が「妻に迷惑はかけたくないから施設がいい」と明記していたことで、娘さんが遠慮なく施設探しを進められた、というケースがあります。
以下のように、介護に関する希望もリスト形式で整理してみてください。
- できれば自宅で介護を受けたい
- 公的施設よりも、民間の落ち着いたホームが良い
- 認知症になったら、専門の施設に移っても構わない
そしてもう一つ大切なのが、誰に意思決定を委ねるのかということ。
「この内容を、長男に伝えて判断を任せたい」など、意思の橋渡し役を明確にしておくと、迷いが生まれにくくなります。
もちろん将来的に希望が変わることもありますから、定期的にノートを見直す習慣をつけるのもポイントです。
なお、親の介護や医療の場面では、「子どもがどこまで口を出してよいかわからない」と悩む場面もあります。
エンディングノートを使って、あらかじめ方向性を示しておくことで、家族も本人も安心して決断ができるようになります。
では次に、終活ノートを書く際に陥りやすい「書きすぎ・書かなさすぎ」のバランスについて考えていきましょう。
葬儀・埋葬に関する記載ポイント
葬儀や埋葬についての希望をエンディングノートに記載しておくことは、家族の負担を減らすうえで非常に大切な配慮です。
例えば、突然の訃報で動揺している中、喪主であるご家族が「どこで、どんな形式で葬儀をすればよいか」と悩むのはよくある話です。
こうした場面で、本人の意思が明確になっているエンディングノートがあるかどうかで、家族の安心感は大きく異なります。
以下は、エンディングノートに記載しておきたい主な内容です。
項目 | 記載する内容の例 |
---|---|
葬儀の形式 | 一般葬・家族葬・直葬などの希望 |
宗派・寺院 | 仏教・神道・キリスト教などの宗教、付き合いのある寺院名 |
喪主の希望者 | 誰に喪主を任せたいか(長男、次女など) |
呼びたい人のリスト | 友人、会社関係、趣味仲間などの名前や連絡先 |
葬儀社の指定 | 既に契約がある場合はその情報、なければ希望する葬儀社の名前 |
埋葬の方法 | 土葬、火葬、散骨、樹木葬、納骨堂利用など |
お墓の有無と場所 | 家族墓の場所や希望する霊園名など |
遺影の指定 | 使用してほしい写真、服装の希望 |
たとえば、70代の女性がエンディングノートに「家族葬を希望。通夜・告別式ともに身内だけで。○○葬儀社に依頼済み。納骨は△△霊園」と具体的に記載していたことで、子どもたちは迷うことなく手配ができたという話があります。
また、意外と多いのが「誰を呼ぶか」のトラブルです。
付き合いの薄い親戚や、ご近所への連絡をどうするかをあらかじめ書いておけば、気を使う場面を最小限に抑えることができます。
ちなみに、契約済みの葬儀社との書類や、永代供養の申込証明書などがある場合は、それらのコピーをノートに貼っておく、もしくは保管場所を明記することで、よりスムーズになります。
このように、葬儀と埋葬に関する情報は、単に形式を記すだけではなく、実務的な行動に直結する情報を明記することが重要です。
次に、こうした大切な情報を家族とどう共有し、どこに保管しておくべきかを考えてみましょう。
エンディングノートの保管場所と共有方法

せっかくエンディングノートを書いても、いざというときに見つからなければ意味がありません。
そのため、保管場所と家族との共有の仕方は、ノートの内容と同じくらい重要です。
まず、保管場所として適しているのは次のような場所です。
- 自宅の書斎や仏壇の引き出し:身近で家族が思い当たりやすい
- 重要書類をまとめたファイルの中:通帳や保険証券などと一緒に
- 貸金庫:厳重に保管したいが、鍵や暗証番号の伝達が必要
- デジタル保管(クラウドやUSB):共有しやすいが、操作に慣れていないと難しい
また、保管場所は以下のように明確に家族へ伝えておきましょう。
- ノートに「このノートは○○の引き出しに保管しています」と明記する
- 家族の集まりのタイミングで直接説明する
- 複数の家族に伝えておくことで、誰か一人が知らなくても問題が起きにくくなります
あるご家庭では、母親が「仏壇の下段にある白いファイルの中にあるから、困ったらそこを見て」と子どもたちに伝えていました。
それが功を奏し、亡くなったあとすぐにノートが見つかり、介護施設の連絡先や、既に支払い済みの納骨堂情報までスムーズに確認できたとのことです。
さらに、エンディングノートのコピーを作成しておくことも一案です。
- オリジナルを自宅に保管
- コピーを信頼できる家族に渡す
- 共有ドライブなどを使って、必要な項目だけデジタル共有
このように、エンディングノートの共有は"家族との連携"と"見つけやすさ"が鍵となります。
60代からのエンディングノート活用術を始めるための実践ポイント15選
- 書き始めるのは定年後の生活を見直す60代が適している
- 最初は「書けるところから」で心理的負担を減らす
- 気持ちや希望を伝えるツールとして割り切って使う
- 医療や介護の希望は具体的に書き残すと判断がしやすい
- 財産や契約情報は家族が困らないように最低限まとめる
- 預貯金・保険・不動産は別カテゴリで整理する
- 葬儀の形式や希望する宗派なども記載しておく
- 喪主や連絡をしてほしい相手をリストアップしておく
- 形見分けや伝えたい思いは記憶が鮮明なうちに書く
- ノートの保管場所は家族に必ず伝えておく
- 定期的な見直しを「毎年の誕生日」などに習慣化する
- 手書きでもデジタルでも自分が使いやすい形式を選ぶ
- ノートの選び方はフォーマットの分かりやすさが基準
- 法的効力が必要な部分は遺言書で補う
- 家族と共有することでノートの内容が生きた形になる
参考
・お墓除草剤スピリチュアル|金運・健康運を守る正しい使い方
・老後旦那といたくない理由とは?離婚せずにできる現実的対処法
・親の介護ねぎらいの言葉例文15選|励ましではなく心に届く言葉とは
・遺骨ペンダントティファニー後悔しないための選び方ガイド
・お墓の夢宝くじが当たる前兆?夢占いで金運アップを読み解く

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